制度を知ると、選べる
介護保険で使える制度の整理
介護保険は「申請して認定を受けてから」使う制度です。認定の流れ、区分ごとに使える金額の上限、自己負担の割合、福祉用具・住宅改修の仕組みを、厚生労働省の公表資料と介護サービス情報公表システムの解説をもとに整理しました。数値は確認日時点のもので、改定されることがあります。
だれが対象か(被保険者)
| 区分 | 対象 | 給付を受けられる条件 |
|---|---|---|
| 第 1 号被保険者 | 65 歳以上の方 | 原因を問わず、要支援・要介護と認定されれば給付の対象 |
| 第 2 号被保険者 | 40〜64 歳の医療保険加入者 | 加齢に伴う疾病(特定疾病)が原因で要支援・要介護になった場合 |
出典: 厚生労働省老健局「介護保険制度の概要(令和 7 年 7 月)」。
要介護認定の流れ
市区町村の窓口に申請する
介護保険被保険者証を持って、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口へ。40〜64 歳の方は医療保険証が必要です。本人が行けないときは、家族や地域包括支援センターなどが申請を代行できる場合があります(市区町村に確認)。
認定調査と主治医意見書
市区町村の調査員が自宅や施設を訪ねて心身の状態を確認します(認定調査)。主治医意見書は市区町村が主治医に依頼し、作成料の自己負担はありません。主治医がいない場合は市区町村の指定医の診察を受けます。
一次判定と二次判定
調査結果と主治医意見書の一部をコンピューターに入力して全国一律の方法で一次判定を行い、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が二次判定を行います。
結果の通知(原則 30 日以内)
申請から認定の通知までは原則 30 日以内。区分は「要支援 1・2」「要介護 1〜5」「非該当」です。認定の有効期間は、新規・変更申請では原則 6 か月、更新申請では原則 12 か月です。
ケアプランを作ってサービスを使う
要介護 1 以上は居宅介護支援事業者のケアマネジャーに、要支援 1・2 は地域包括支援センターに相談してケアプランを作成します。施設に入る場合は施設のケアマネジャーが作成します。
出典: 介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」。
区分ごとの利用限度額(在宅サービス・1 か月あたり)
在宅サービスには、要介護度ごとに 1 か月に保険給付の対象となる上限(区分支給限度基準額)があります。上限を超えた分は全額自己負担です。次の金額は 1 単位 10 円で換算した目安で、実際の上限は地域区分による単価の違いで変わります。
| 区分 | 利用限度額の目安 | 1 割負担の場合の自己負担(上限まで使ったとき) |
|---|---|---|
| 要支援 1 | 50,320 円 | 約 5,032 円 |
| 要支援 2 | 105,310 円 | 約 10,531 円 |
| 要介護 1 | 167,650 円 | 約 16,765 円 |
| 要介護 2 | 197,050 円 | 約 19,705 円 |
| 要介護 3 | 270,480 円 | 約 27,048 円 |
| 要介護 4 | 309,380 円 | 約 30,938 円 |
| 要介護 5 | 362,170 円 | 約 36,217 円 |
出典: 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」。右の列は本サイトが 1 割で単純計算した参考値です(2〜3 割の方はそれぞれ 2 倍・3 倍)。
自己負担と高額介護サービス費
利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1 割です。65 歳以上で一定以上の所得がある方は2 割または 3 割になります(40〜64 歳の第 2 号被保険者は一律 1 割)。負担割合は市区町村が毎年判定し、「介護保険負担割合証」で通知されます。
1 か月の自己負担の合計が上限を超えたときは、超えた分が高額介護サービス費として払い戻されます(令和 3 年 8 月サービス分から次の区分)。
| 世帯の区分 | 上限額 |
|---|---|
| 課税所得 690 万円以上の人がいる世帯 | 140,100 円(世帯) |
| 課税所得 380 万円以上 690 万円未満の人がいる世帯 | 93,000 円(世帯) |
| 市町村民税課税世帯(課税所得 380 万円未満) | 44,400 円(世帯) |
| 世帯全員が市町村民税非課税 | 24,600 円(世帯)。うち年金収入等が一定額以下の方や老齢福祉年金受給者は 15,000 円(個人) |
| 生活保護を受給している方等 | 15,000 円(個人) |
出典: 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」、厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.997」。施設の食費・居住費や、限度額を超えた分は対象外です。
福祉用具の貸与・購入
貸与(レンタル)の対象 13 種目
車いす、車いす付属品、特殊寝台(介護ベッド)、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置。
- 要支援 1・2 と要介護 1 の方は、車いす・特殊寝台など 8 種目が原則として給付の対象外です(状態によって例外的に認められる場合があります)。自動排泄処理装置(尿のみを吸引するものを除く)は要介護 4・5 の方が対象です。
- 固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖は、貸与と購入のどちらかを選べます(令和 6 年 4 月から)。
- 借りる前に、ケアマネジャーのケアプランに位置づける必要があります。
購入(特定福祉用具販売)
貸与になじまない用具は購入費の支給対象です。腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分など。支給限度基準額は年間 10 万円(そのうち 1〜3 割が自己負担)で、都道府県等の指定を受けた事業者から購入したものが対象です。
出典: 介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」、厚生労働省「福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目(告示)」、「福祉用具・住宅改修(介護給付費分科会資料)」。
住宅改修(手すり・段差解消)
手すりの取付け、段差の解消、滑り防止等のための床材の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替え、これらに付帯して必要となる工事が対象です。
- 支給限度基準額は20 万円(要支援・要介護の区分にかかわらず定額。生涯の上限)。そのうち 1〜3 割が自己負担です。
- 要介護状態区分が 3 段階以上重くなったとき、または転居したときは、再度 20 万円までの上限が設定されます。
- 原則として工事の前に市区町村へ申請します。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、理由書を作成してもらうのが一般的です(手続きの詳細は市区町村に確認)。
出典: 厚生労働省「福祉用具・住宅改修(社会保障審議会 介護給付費分科会 資料)」。
ケアプランは無料で作ってもらえる
居宅介護支援(ケアプランの作成とサービスの調整)にかかる費用は介護保険から全額給付され、利用者の負担はありません。ケアマネジャーは特定のサービスや事業者に偏らないよう公正中立に行うこととされています。「どの事業者を選べばよいか」を相談する最初の相手として活用してください。
出典: 介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」。
このページは制度の概要の整理で、個別のケースで給付が受けられるかどうかの判断はできません。金額・対象は改定されることがあるため、申請前にお住まいの市区町村の案内と出典のページで最新の内容をご確認ください。
出典(公式ページで確認した日付つき)
- 厚生労働省 老健局「介護保険制度の概要(令和7年7月)」(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(確認日 2026-10-25)
- 厚生労働省 老健局「介護保険最新情報 Vol.997(高額介護サービス費の見直し・令和3年8月)」(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? 福祉用具貸与」(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目(告示)」(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省 老健局「福祉用具・住宅改修(社会保障審議会 介護給付費分科会 第220回 資料7)」(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? 居宅介護支援」(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」(確認日 2026-10-19)
制度の数値や窓口は改定されることがあります。手続きの前に、出典のページとお住まいの市区町村の案内で最新の内容をご確認ください。